シンプルスキンケアのすすめ

スキンケアの思い込み

お肌に関して、お悩みはありませんか?
お手入れはちゃんとしているつもりなのに、乾燥がひどかったり、肌荒れに悩まされたり、お化粧品が合わなくて、敏感肌になってしまったり。お手入れの習慣として、当たり前のように続けてきたスキンケアが、その原因になっているとしたら、驚かれるのではないでしょうか。

簡便さの中の怖さ

昔、昭和の中頃には、クレンジング剤と言えばコールドクリームで、たっぷりと肌に塗り、マッサージをするように、くるくるとお肌に馴染ませ、その後コットンでふいていた時代もありました。それがいつしか、洗い流せるクレンジング剤が発売され、その簡単さに、あっという間にコールドクリームの姿を見なくなりました。けれども、洗い流せるクレンジング剤には、大きな落とし穴があったのです。

生活の中の界面活性剤

界面活性剤という言葉をご存知でしょうか。化学の分野の言葉ですが、界面は、物質の表面の意味で、お水なり油なりの表面に働きかけて、混ざり合わないものを混ぜ合わせる役目をしてくれるものです。
脂汚れを水の中に溶かし込むことで、洗浄剤としての働きをすることができるのです。
洗い流せるクレンジング剤は、その性質を利用して作られました。他にもボディシャンプー、シャンプー、合成洗剤に台所用洗剤など、ありとあらゆる洗浄剤として、生活の中にすっかり根を下ろしています。

自然に負担なものは、お肌にも負担

これらの洗浄剤は、合成の界面活性剤と言われるもので作られています。合成のものが登場する以前は、洗浄剤と言えば、石鹸でした。何を洗うのも石鹸で洗っていました。石鹸も界面活性剤の一種ですが、合成のものとの決定的な違いは、その分解性にあります。
分解性という言い方も、化学の世界の用語です。役目を終えた後、素早く分解されて、自然界へ水や二酸化炭素などの無害な形で、戻ることを分解性が良いと言います。石鹸は、あっという間に分解されます。けれども、合成の界面活性剤は、いつまでも分解されることなく、自然界に大きな負担をかけてしまいます。
お肌の上にも、どんなにしっかりと洗い流したとしても、少量は残り、影響を及ぼし続けることになるのです。

角質層に痛手

角質層はお肌をまもる役目を持ちます。そして、角質細胞の間を埋めている細胞間脂質というものは、水と脂質でできていて、保湿の役目も担っています。お肌に残った合成界面活性剤が、この水と脂質を混ぜ合わせて、溶かしてしまうのです。そのために、角質層は、薄く弱くなって、本来のお肌を守る働きも果たせなくなる上に、保湿する力も奪われてしまいます。ひどい乾燥肌になったり、肌荒れを起こしたり、敏感なお肌になってしまう原因と思われるところが、そこにあります。

重ねるお手入れの弊害

合成の界面活性剤は、洗浄剤としての役割の他に、乳化剤としても働きます。クリームや乳液といったものを作るときに、水の中に、油性の成分を溶かし込まないといけないため、必ず必要です。保湿のためにと、乳液や保湿クリームを重ねて、お手入れすればするほど、乾燥はとまらないことになっていたのかもしれません。また、美白成分など、お肌によかれと思って、良さげな成分をお肌に浸透させようとすると、角質層のバリアを壊す必要が出てきます。お肌を美しく保つためのお手入れが、かえってお肌の力を損ねてしまっています。

クレンジング剤の負担

けれども、乳化剤として含まれる量は、洗浄剤と比べると少量です。まずは、洗浄剤を見直していただくことが効果的です。
洗顔や、身体を洗うのも石鹸で、頭皮にお困りのことがある方は、シャンプーも石鹸シャンプーに変えてみてください。石鹸シャンプーは使い勝手の点で、ハードルの高いものですから、【石鹸シャンプーのコツ】で詳しく説明しています。
そして、クレンジング剤に関しては、いちばん見直していただきたいものです。最近の化粧崩れの少ない、しっかりメイクを落とすクレンジング剤は強力です。洗い流せるクレンジング剤が、お肌への負担のかなりのウェイトを占めています。

思い込みを脱ぎ捨てる

クレンジング剤の見直しは、簡単なことではないでしょう。ファンデーションの選択から、考えていただく必要も出てきます。
石鹸でも落とせるファンデーションに変えていただいたり、しっかりメイクはやめられないという方は、昔ながらのコールドクリームを使っていただくという方法もあります。油性の汚れは油性のものに溶かして落とすというのがコールドクリームの考え方です。

潤う力

当たり前のように、お手入れしてきたものが、お肌の負担になっていたと考えるのはショックの大きいものです。熱心にスキンケアをなさってきた方ほど、影響が大きいというのも、ひどい話です。洗浄剤の影響は、やめてみて初めて気づくことです。
時間はかかるかもしれませんが、健全な角質層を取り戻すことができれば、自らの保湿の力も復活します。乳液や保湿クリームの、量も種類も減らすことができます。当たり前のお手入れと信じてきたものは、何かに刷り込まれたものでしかないのです。
自分のお肌の声を聴いて、少し足したり、少し引いたりしながら、お肌の力を邪魔しない程度の、補助をしてあげるようなケアが、お肌もいちばん喜んでくれるのではないでしょうか。
シンプルなケアで十分です。お肌は自ら、潤う力を持っているのです。

コールドプロセス製法の石鹸、石鹸シャンプー用酸性リンスなど、店内で販売しております。

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